三気堂薬局|熊本の調剤薬局

2024.7.2

薬の正しい知識を身に付けよう

お薬は恐いもの?


 

物質がヒトの体にとって「良いもの」となるのか「悪いもの」となるのかは、体の中に入る物質の量が重要です。例えば糖分は体を動かすエネルギーとして欠かせませんが、摂りすぎると糖尿病や肥満症などの病気を引き起こします。お薬も同じで、適切な量を服用すれば病気を治す「効果」として現れます。しかし、飲み方や飲む量、飲み合わせ、また服用する方の体質などによって、期待する効果だけではなくそれ以外の作用である「副作用」が現れることがあります。期待される効果を最大限に引き出し、副作用を最小限にするためには、薬を適正に使用する、ということが非常に重要です。

そのためにも、きちんと薬の知識を持った薬剤師・医師からの説明をしっかり守って服薬して頂くことが大事です。薬は適正に使用すれば、決して恐いものではありません。

 

 

薬の飲み方や飲む量はどうやって決められているの?



 

お薬の飲み方(いわゆる用法)や飲む量(いわゆる用量)は、細胞や動物を用いた実験をもとにシミュレーションを行い、ヒトによる治験を実施して効果・安全性・体内での薬の動きなどを確認した上できちんと決められています。

 

 

用法や用量を守らなかったらどうなるの?



 

1 回に服用する量を自己判断で増やせば「副作用」を生じる可能性がありますので、飲み忘れても2 回分を1度に飲んではいけません。またお薬を服用するタイミングも重要です。例えば食事の影響を受けて体の中に入る量が少なくなる薬は食事の前に、食事の影響を受けて効率よく体の中に入る薬や空腹だと胃を荒らすような薬は食事の後に服用します。薬局でもらう薬の多くは食後に服用するよう設計されていますが、これには、食事のタイミングに合わせることで飲み忘れを防止するという目的もあります。

このように、お薬は効果の持続時間や安全性などを考えて用法・用量が決められていますので、医師や薬剤師の説明、あるいは付属する説明書等に従って、使用方法や使用量をきちんと守るようにしましょう。

 

 

薬の副作用について

 

 

薬は人の体にとっては異物ですので、いろいろな影響を及ぼす可能性があり、副作用が全くないというお薬はありませんが、それが必ず起こるというわけではありません。

薬の副作用は、お薬の種類によって、また副作用の種類によって起こる確率は異なりますが、治験と呼ばれる発売される前の実験調査などの成績に基づいて、厚生労働省による安全性の確認を受けていますので、一般的には起こる確率はとても低くなっています。

副作用の発現には、飲む量や飲むタイミングだけでなく、同時に使った別のお薬や食品成分が影響する場合があります。

薬の飲み合わせについては、お薬手帳を活用することで薬剤師が飲み合わせに気付いて未然に防ぐことができますし、また普段の食生活や使っているサプリメントの情報などを医師や薬剤師に伝えておくことも、薬の副作用を防ぐためにとても大事です。

また、市販薬の中には、用法・用量を守らずに過量摂取(オーバードーズ)すると、副作用による健康被害が起きたり、依存症になってやめられなくなる場合があります

近年、この「オーバードーズ」が10代、20代を中心に深刻化しています。

 

 

オーバードーズの問題

 

 

薬局やドラッグストアで購入できる風邪薬や咳止めなどを大量・頻回に服用することです。服用を繰り返すうちにそれまでの量では効かなくなり、オーバードーズにつながるおそれがあります。さらに服用を続け、薬に依存してしまうと、自力ではやめられなくなることがあります。

オーバードーズの影響で肝臓などに障害が起こったり、最悪の場合は心肺停止で死亡したりする場合もあります。

10代・20代の若い世代を中心にオーバードーズが増加しており、従来の違法薬物と比較して女性が多く、非行歴が少ないなどの特徴があるとされています。

オーバードーズの背景には、家庭や学校等で感じている「つらい気持ち」があり、それを和らげるために市販薬に頼ってしまうなど、裏には深刻な問題が潜んでいる場合もあります。

オーバードーズによる依存は、本人や家族だけで解決することはとても難しいです。一人で抱え込まず、専門機関や医療機関、かかりつけの薬局・薬剤師にご相談頂ければと思います。

 

 

副作用や過敏反応が出たらどうしたら良いの?

 

 

副作用が疑われるときには医師や薬剤師などの専門家に相談して正しく対応することが大切です。特に医療用医薬品の使用を中止すべきかについては、必ず医師・薬剤師に相談してください。

また、アレルギー体質の人や、過去に副作用を経験している人などは、予め医師や薬剤師などに情報を伝えてください。また、お薬手帳にも記入する所がありますので、記入しておくと良いでしょう。

薬局などで一般用医薬品を買う時も、薬剤師・登録販売者などの専門家に相談して、薬の使い方などの情報を正しく得ることが大切です。

薬は正しい使い方をすれば決して恐いものではありませんが、誤った使い方をすれば副作用が出たり、時には死に至ることもあるものです。

正しい薬の知識を持ち、医師や薬剤師の説明に従って正しく使用して頂ければと思います。

少しでも分からないことなどがあればお気軽にご相談ください。

 

池田一之

有限会社MET(三気堂薬局グループ)
代表取締役

薬剤師

 

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