みなさんも頭痛や熱などがあるときに薬を飲むことがあると思います。薬と言っても錠剤、カプセル、粉、液体、スプレーなど、同じ薬でもいろいろな形があると思いませんか?そして、それをどうやって作っているのか不思議に思ったことはありませんか?色々な形がある中で、今回は錠剤についての疑問にお答えしようと思います。
錠剤ってどうやってできているの?
例えば痰が出にくいときなどに処方されるカルボシステインを飲んだことのある方は多いのではないでしょうか?ではそのカルボシステインの錠剤は有効成分だけでできているのでしょうか?
答えはNoです。
錠剤は有効成分だけで作ることはできません。
錠剤は一般的には、有効成分とその他の錠剤を形作るための成分(医薬品添加剤)から構成されています。もちろん「その他の成分」とは体に対して作用を示さず安全性もきちんと検証されたものであり、錠剤を形作る目的だけなく、医薬品の飲みやすさの向上や安定性の向上を目的として加えられる場合もあります。
錠剤になる前の薬はどうなっている?
答えは粉末状です。
有効成分と医薬品添加剤を混ぜ合わせた粉を作ります。その粉を錠剤の形をした臼(うす)と呼ばれる穴の中に入れて、杵(きね)と呼ばれる棒で圧縮して粉を固めて作ります。もちろんただ固めればいいというわけではありません。錠剤は体の中に入ったときに錠剤が壊れ、有効成分が出てきて体の中に吸収されないことには効果を示しません。そのため、医薬品添加剤は薬効を持ちませんが非常に重要な成分と言えるでしょう。みなさんが持ち運んでも割れず、でも飲んだら壊れて有効成分がきちんと出てくるように各製薬メーカーは工夫をし、みなさまの健康のため薬を作っています。
いかがでしたでしょうか?私はかつて医薬品ではありませんがサプリメント業界で錠剤の設計をしておりましたが、今でも錠剤を見ると開発者はどんな工夫をしてこれを作ったのかなとついつい考えてしまいます。
田渕 良
有限会社MET(三気堂薬局グループ)
薬剤師
薬の⾖知識や地域の元気を紹介したりと三気堂薬局がお届けする
体と⼼を元気にするコラムです。