三気堂薬局|熊本の調剤薬局

2024.7.2

抗原検査キットについて

抗原検査キットとは、新型コロナウィルスやインフルエンザウィルスなどに感染しているかどうかを、短時間且つ簡便に判定できる検査キットのことです。

抗原検査キットを各ご家庭で常備しておくと、体調が気になる場合、ご自宅などでいつでもセルフチェックができます。

しかし、使い方や使うタイミングなどを間違うと、正しく判定ができません。

このコラムでは、抗原検査キットを使って正しいセルフチェックを行えるよう、使い方や注意点などについてご紹介していきます。

 

 

ウィルス感染症の検査にはどのようなものがある?

PCR検査:現在感染しているかどうかを調べる

抗原検査:現在感染しているかどうかを調べる

  ・抗原定性検査

  ・抗原定量検査

抗体検査:過去に感染したかどうかを調べる

現在感染しているかどうかを調べる方法として、一部の医療機関等で行われているPCR検査や、抗原検査があります。

更に抗原検査の中にも、抗原定性検査、抗原定量検査と2種類の検査方法がありますが、薬局で販売されている新型コロナウィルス感染症用の検査キットは抗原定性検査キットになります。

また、過去に感染したかどうかを調べる抗体検査もあります。

 

PCR検査と抗原検査の違いは?

PCR検査も抗原検査も、鼻や咽頭を拭って粘膜の細胞を採取、あるいは唾液を採取して検査を行いますが、PCR検査の場合、検査したい微量のウィルスの遺伝子をたくさん増やして検出しやすくし(見つけやすくし)、それを専用の機器を用いて検出する(見つける)方法です。

一方、抗原検査は、抗原と呼ばれるウィルス特有のタンパク質と、検査キットの中に入っている人工的に作られたウィルスの抗体がくっつく反応(抗原抗体反応)を利用して判定する方法です。

PCR検査は検出精度が高いため、まだ体内のウィルスの量が少ない段階、感染してから実際に発症する数日前でも検出することができるというメリットがありますが、専用の機器が必要になるため、どこでも行えるわけではなく、時間もかかってしまいます。

一方、抗原検査はある程度のウィルス量がないと正確に判定できない場合があり、発熱してすぐのタイミングでは、実際には感染していても陰性と判定が出る場合があります(偽陰性)。PCR検査に比べると検出精度は劣りますが、特別な検査機器が要らず、その場で数分~30分程度の短時間で結果が出ることから、速やかに判断が必要な場合などに用いられることが多いです。

病院でインフルエンザの検査をされたことがある方は多いと思いますが、それにはこの抗原検査が用いられていることが多いです。

 

 

抗原検査キットの一般的な使用手順と留意点について

鼻腔ぬぐい液を用いるもの、唾液を用いるものとありますが、一般向けに販売されているほとんどの製品で用いられている、鼻腔ぬぐい液を用いる方法について、一般的な手順と留意点についてご紹介します。

 

<①検体採取(鼻腔拭い液の自己採取)>

 

まず最初に、上の図のように鼻の中から検査のために必要な検体を採取します。

2㎝程度綿棒を入れるといっても分かりづらいと思いますので、綿棒の先端から2㎝測り、その下の所を持って、指が鼻に当たるまで入れるやり方も良いと思います。行う際は感染リスクを考え、他者と向き合わない、十分に距離を取るなど、注意して行ってください。

また、鼻水がよく出ている方はよく鼻をかんでから行うようにしましょう。

 

<②試料調製>

 

続いて上の図のように試料の調製を行います。

<③試料滴下>

 

次に、調製した試料を上の図のようにキットの滴下部に滴下します。

<④結果の判定>

 

最後に結果を判定します。

ここで出てくるCは、コントロールラインのことで、検査が正しく行われたことを示すラインです。

Tはテストライン、検出ラインとのことで、陽性を判定するラインになります。

判定の見分け方については、

陽性の場合、CT2本のラインが表示されます。

正しく検査が行われ、且つ拭い液の中にウィルスの抗原があったということです。

陰性の場合、Tのラインは表示されず、Cのラインのみ表示されます。

Cのラインが表示されなければ、検査が正しく行われていなかったということで、判定は無効ということなります。

判定方法につきましても、製品で異なる場合がありますので、各製品の添付文書やパンフレット等をご確認下さい。

 

 

検査キットで陽性となった場合の対処について

もし陽性と判定が出た場合には、かかりつけの医療機関や薬局にご相談ください。

尚、重症化リスクのある方(65歳以上の方、基礎疾患をお持ちの方、妊娠されている方など)は、速やかに医療機関を受診して下さい。まずはかかりつけやお近くの医療機関等にお電話でご相談頂くことをお勧めします。

また、抗原検査の精度は100%ではありません。陰性と判定が出た場合でも実際には感染している可能性もありますので、検査後に発熱や咳・喉の痛みなどの症状が出てしまった場合や、症状が軽いため様子を見ていたけどなかなか治らない、というような場合には、医療機関に電話相談の上、受診されることをお勧めします。

 

 

どこで購入できる?

薬剤師がいる薬局やドラッグストア、インターネットで購入することができます。ただし、取り扱いがない店舗もありますので、直接薬局・ドラッグストア等にご相談ください。

尚、厚生労働省、日本薬剤師会のホームページで「新型コロナウィルス抗原検査キットの取扱店舗リスト」が公開されていますので、購入を希望される際はご参考になさって下さい。

厚生労働省HP

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000082537_00001.html

 

日本薬剤師会HP

https://www.nichiyaku.or.jp/pharmacy-info/corona-kit/

 

 

購入に当たっての注意点

 

国が承認した「体外診断用医薬品」あるいは「第一類医薬品」と表示されたものを選んでください。「研究用」と称した製品につきましては、国が承認したものではなく、性能等が確認されたものではありません。

薬局やドラッグストア等の店舗で購入を希望される場合は、感染リスクを下げるためにも、事前に店舗までお電話頂けると有り難いです。濃厚接触であるかどうか、現在発熱や咳などの症状が出ていないかどうかなど、薬剤師が確認をさせて頂いた上で、適切に対応致します。

 

池田一之

有限会社MET(三気堂薬局グループ)
代表取締役

薬剤師

 

 

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